ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > にしかわぐらし > 加藤仁司さん(就業編)

加藤仁司さん(就業編)


本文

印刷ページ表示 更新日:2016年8月1日更新

加藤仁司さん(就業編)

加藤仁司さん

移住者データ
氏名 加藤仁司
年齢 51歳
職業 森林調査(日本森林林業振興会)
家族構成 独身
前居住地 福島県
(出身地:宮城県)
移住前の職業 自然農自給生活学校スタッフ
移住年 2010年
現居住地 西川町大井沢

移住までの経緯・概要

宮城県出身。西川町大井沢在住。大学を卒業後、電気関係のメーカーに就職。1997年、11年間のサラリーマン生活にピリオドを打ち、学校法人アジア学院(世界の貧しい地域で働く農村指導者を養成する学校)に進学。その後、岐阜にある自立支援活動を行う禅宗のお寺で7年、福島の「自然農自給学校」のスタッフとして4年半を過ごし、2010年の冬、西川町大井沢に移住。

移住のきっかけ

サラリーマン時代、休みの度に各地の林道を巡り、あちこちの山々を登山していました。今は完全にベットタウン化している僕の生まれ故郷(宮城県多賀城市)ですが、昔は近所の原っぱで草野球をしたり、近くの山で虫捕りしたりするのが僕の日常で、そんな当時の経験がいろんな場所を訪れる原点となりました。山々を巡るうちに「自然の中で生活したい」という思いが徐々に大きくなったんです。

林道を走るなかで目のあたりにするのは、荒れた山々の光景でした。「自分に出来ることはないか」という思いから自然保護団体に入ったこともあります。その自然保護団体の活動の一環で、カモシカ調査のために朝日鉱山(福島県)を訪れたんです。そこで出逢ったのは「人の手が入っていない天然のブナ林」でした。そのなかに身を置いたときの心地良さは今でも忘れられません!それが西川町への移住の大きなきっかけとなりました。

サラリーマン生活後は、アジア学院での農業研修や岐阜にあるお寺での修行、自然農自給学校での自給自足生活プログラムにかかわり、その中で「自然の中で生活したい」という思いは更に強くなりました。ただそこは、ブナがある環境ではなく、サラリーマン時代に感じた「ブナがある環境に身を置きたい」という思いを甦らせてくれるきっかけになったんです。

西川町を選んだ理由

山林を探索している様子の写真

2010年の夏―「ブナがある環境で生活したい」と、鳥海山近辺(山形県北部)から南下しながら移住先を探していた最中に大井沢(西川町)と出会いました。手が届きそうなところにブナが生えている…そして、荒れてきている植林されたスギのそばから、ブナやミズナラが生えてきている。その光景に感動すら覚え、大井沢への移住を決断しました。

住居はすぐに見つけることが出来たか?

空き家は地元の人に聞くのが一番だと思います。ただ、いきなり探し歩いても警戒しますよね…。一歩間違えれば不審者扱いだと思います(笑)私の場合、とりあえず民宿に泊まり、民宿の方に話しを聞き、今の住居を紹介してもらいました。建物の痛みはそれほどなく、自給生活のなかで培った技術を活かして自ら空き家の改修を行いました。住居よりも想定外だったのは、除雪機です。全国でも有数の豪雪地帯の大井沢ともなると、庭先はバックホーで除雪している方が多いんです。自分もバックホーを購入しましたが、家よりも除雪機(バックホー)の方が高かったです。(笑)

森林調査が出来ない冬期間はどうしているか?

仕事は、春から秋にかけ、国有林の調査(この林を伐ったらどのくらい搬出できるのか)をしています。冬は大井沢に籠り、伝統的な手仕事(つる細工、藁細工、かんじき作り)を体験する一方で、先人の技を記録としてビデオに残し、大井沢の伝承文化継承に力を入れています。

西川町に来て感じた事、心掛けていること

田舎は高齢者の意見が強いですね。お年寄りが多いので当たり前かもしれませんが…。特に山についてはその傾向が強く、自分たちが利用したくても、なかなか話しが進まないことが多いです。でも、信頼関係を築ければ、いずれは自分たちの意見を尊重してくれると思っていますし、とにかく大井沢の自然環境が大好きです。自然の中に入れば、嫌な事があってもすべて忘れさせてくれます。その環境がここにありますから。

これからやってみたいこと

加藤仁司さん2

にしかわ薪火人の会<外部リンク>という町産木材の普及拡大を図る組織の設立に携わっています。そのなかで、荒れている山々を自分たちの力で手入れし、薪づくりなどを行う活動が出来ないか考えています。何でもいいから山に入る理由がほしいんですよね。

それから、Iターン者3名で、きのこ生産組合も立ち上げました。きのこの生産だけでなく、Iターン者同士気軽に情報交換や相談し合う良い機会になっています。 ー移住希望者へのメッセージ 自分は、ここに来る前からいろいろなところで様々な経験をし、移住への下地を作ってきました。いきなり移住を決断するのではなく、移住体験などを通して、その土地のことを知ってから行動した方が理想と現実のギャップは小さくなると思います。何事もシミュレーションが大事です。

また、大井沢に移住してから、事あるごとに周りの人には「自分は山が大好きなので、山にかかわる仕事をしたい」と言っていました。その甲斐あって、周囲から現在の職業を紹介してもらうことが出来たんです。知らない土地で生活するためには、自分を分かってもらう必要があると思います。田舎の場合、1人に話しをすれば、あっという間に知れ渡りますよ。(笑)

(2016年7月取材)