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令和5年度施政方針表明


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印刷ページ表示 更新日:2023年3月29日更新

西川町長  菅野 大志

本日、令和5年第1回定例会の開催にあたり、令和5年度の町政の運営における基本的な考え方と主要施策を申し上げ、議員の皆様をはじめ、町民の皆様のご理解を賜りたいと考えております。

1年前までは、私は、霞が関において、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局に働いておりましたが、西川町町長となり10か月が経過いたしました。町長職は、肉体的には霞が関と比べて楽ではある一方で、速やかに判断が求められること、町民の命を、安全を、未来を預かる重責を感じながら日々職務を進めております。
西川町民歌の最後に、「ああ西川の町、希望あり/未来あり」という歌詞がございます。これまで、西川町の未来に希望ありと胸を張って言えたでしょうか。希望あり、未来ありと、町づくりへの道筋は見えますでしょうか。昨年まで、外から見てきた西川町、私は、残念ながらそうは見えませんでした。例えば、町は補助金申請にチャレンジしない、町議会は当局から「検討します」を引き出すことで安堵し、追加質問する議員が限られ、議論を通じて実現した政策は少ないと感じます。
議員の皆様におかれましても、提案してなかなか実現しないことに歯がゆい思いをされた議員も多いのではなかったでしょうか。区と町との対話会では、町が検討しますとの回答に対し、区の皆さんは安心するも、なかなか約束が実現されない。これでは、町と町民との溝、もしかしたら町民と議員との溝も広まっているのではないかと感じておりました。1年前に西川町に戻り、これが仮説でないことを思い知りました。
しかし、現在、リーダーを担わせていただいた今は、現状を分析し、私の関係人口や補助金など事業を進める立場となり、はっきりと、8年後には生産年齢人口を増加する道筋ははっきりと見えております。これを町民とともに創り上げたのが、第7次西川町総合計画(案)でございます。こちらは後ほど、言及します。
さて、私は、この職に就く前、4省庁にわたり11年間、地方創生を担当して参りました。いわば、地方創生のプロです。一方で、現場の経験をしたい、またプレイヤーとしての感覚を持つ必要があると考え、地域商社やコミュニティからイノベーションを起こす一般社団法人を起ち上げ、今でも経営に関わっております。特に、一般社団法人「ちいきん会」では、2,800名のメンバーと、産学官金言の有志による、肩書を外した心理的安全な対話から、チームとして地域課題解決に資する事業を全国でいくつも創出しております。

このような民間人としての経験から得た成功事例を踏まえると、地域で活性化すること、イノベーションを起こすには、以下の点が必要になります。

  • 1つ目、町内外の立場を超えた有志の心理的安全な対話
  • 2つ目、外のチカラを活用する、また「地域を盛り上げるおもしろそうなこと」あるいは「先進的なことにチャレンジしていく」といった自治体の明確な姿勢の堅持
  • 3つ目、だれがどんなことで困っているか、またはどんなことが得意かを可視化する現場力、ニーズベースでの政策実行
  • 4つ目、共感を生み出すため、相手の立場にたち、先回りして行動する人材の育成
  • 5つ目、くじけそうになっても「大丈夫!もう一度挑戦しよう」と奮い立たせるリーダーの熱意が必要

以上、5点についてボランティア活動の実践を通じた結論でございます。

1つ目の「町内外の立場を超えた有志の心理的安全な対話」について申し上げます。これまで、町に言いたいことはあったけれどもなかなか言えないという声を数多く聞いてまいりました。これは、とてももったいないことです。私は、対話しやすい雰囲気づくりを心掛けるとともに、会議と懇親会の間に位置する「オフサイトミーティング」、いわば、「まじめに気楽に話す」会議形式の実践を基本に、深い対話を図ってまいります。
また、地域の肩書のある役員の皆様だけでなく、区の情報収集機能を補完するために、町では、町の事業に関心のある有志による意見の集約や対話も積極的に実施してまいります。総合計画策定にあたっても、そのワークショップ参加者を呼び掛けた結果、80名以上の町民有志が手を挙げていただきました。引き続き、有志による、区を超えた肩書を外した対話を重視してまいります。

2つ目「外のチカラを活用する、また「地域を盛り上げるおもしろそうなこと」「先進的なことにチャレンジしていく」といった自治体の明確な姿勢の堅持」について申し上げます。
町では、HPや広報誌、SNSにおきまして、町外の方々をも大切にし、ノウハウを活用する、またAI謎解き開発に地方初でチャレンジする、新しい法律に基づく「みどりの食糧システム基本計画」の実証地域に、日本で最も早く西川町が選定されております。このような次々をチャレンジすることが評価され、町長就任後、約150件の提案を民間企業から受けております。国の補助金の多くは官民連携が条件となっております。補助金申請が比較的容易にできる、西川町にとってはありがたい環境となっております。官民連携が補助金の申請の条件だからです。
また、マイナンバーカード交付率は、全国の町村部門で10番目となり、マイナンバーカード情報を活用して、タブレットによる健康増進事業などにチャレンジしていく予定でございます。

3つ目の「だれがどんなことで困っているか、またはどんなことが得意なのかを可視化する現場力、ニーズベースでの政策実行」について申し上げます。
私は「すっだいことを実現する」とのスローガンを掲げてまいりました。これを愚直に実行して参ります。町長選挙の公約に掲げられた項目のうち、すでに7割は、
10か月で実行・実施の見込みが立ちました。このスピード感で実施できたことは、町長選挙時に掲げた公約のほぼ7割に当たる政策は、予算があったらやりたい!役場職員が実現したい政策だったからです。まずは、役場職員の「すっだいこと」を、職員ともに国の補助金申請にチャレンジしスムーズに実施できたことは、私の誉れでございます。
また、選挙時に対話会を120回以上実施し、町長となってからも70回以上にわたり対話会を開催し町民が求める政策を企画してまいりました。ニーズに応じた事業は、それを求めるプレイヤーが必ずおり、事業が活用される、つまり実効性が高まります。今後もニーズベースでの政策実行にこだわってまいりたいと思っております。 

4つ目「共感を生み出すためには相手の立場にたち先回りして行動する人材の育成」について申しあげます。
町民との積極的な対話を通じて、誰が何でお困りなのか、こんなことができるか、得意なのかが徐々に可視化されます。町では、町外の方々がこんなことを西川町でしたいということを把握することも必要です。町職員においても、町外の方が西川でやりたいことをしっかり把握し、何も言われなくても、指示も受けなくても、進んで、困っている人と町外の得意な分野での人材をつなげる必要がございます。人と人を丁寧につなげることで、外に開かれた町、丁寧な町であることを認識してもらい、外の方が町に来て盛り上げていただくとともに、関係人口の増加、移住にもつながると考えております。一例を申し上げます。役場職員が町内のお母さんグループと地域おこし協力隊をしっかり丁寧につなげ、昨年秋の入間地区で開催した縁日、間沢地区で開催したハロウィンウォーク、町民間沢スキー場での雪像づくりなどの動きにつながりました。これは関係人口創出に向けて、とても大事なことです。地域に関わっているお母さんや、若い地域おこし協力隊のこの活動は、お子様や若い町外の関係人口から見て、西川に関わっていくことが当たり前なのだと、関わっていいのだというイメージをつくっていくことが、地域の持続可能性につながるからでございます。

5番目「くじけそうになっても「大丈夫!もう一度挑戦しよう」と奮い立たせるリーダーの熱意が必要」との認識については、その言葉通りでございます。「熱意とつながり」があれば何でもできるとの精神を役場職員、町民の皆様にも浸透させてまいりたいと考えております。
さて、私は43歳で町長となりましたが、若輩ではあるものの、民間企業での経営経験を踏まえ、しっかり西川町を経営してまいりたいと考えております。西川町の経営資源を最大限に活用し、「利益の最大化、つまり町民の幸福と町の発展」を図ってまいります。町長は名誉職にあらず、今の首長は経営の感覚を持っていなくてはなりません。なぜなら、以前と違って、今の地方活性化は、自治体間の競争を前提としております。町長は、自分が預かる自治体を勝ち組にする使命があります。
そのために、私が最も重視する経営資源は「人」です。そのために、今の役場職員の人材育成に必要なことを申し上げております。1つ目、前例踏襲に陥らないよう「なぜこの仕事をしているのか」という目的意識の徹底と目的が薄れているもの、例えば菊まつりのように、過度に職員に負担がかかる持続可能性の低い事業のスクラップ、2つ目、課を超えた情報共有、3つ目、本気でチャレンジする熱意、最後に、共感を呼び起こす基本は「元気なあいさつ」です。町民の皆様は、役場に訪れた際、元気に挨拶をする職員が徐々に増えていることを実感していると評価をいただいております。町職員があいさつしても、あいさつを返して頂けない議員もおられますので、ぜひ皆さんも町職員に対して、あいさつをしていただければと思います。ありがたいです。

私は、町民や職員の「すっだいこと」を実現するために、国の交付金を獲得しております。先ほど申し上げたとおり、昨今の地方創生は自治体間の競争を前提としております。私が1年前まで勤務していたデジタル田園都市国家構想実現会議事務局においては、1,800億円の予算に対して自治体が地域課題解決につながる事業を提案し交付金を取り合う形になっております。平均すると1自治体、年に1億円を獲得できる計算になりますが、残念ながら西川町においては、ここ5年間、単独で獲得したデジタル田園都市国家構想交付金はゼロです。申請して不採択となったのではなく、挑戦をせずに不戦敗している状況です。

この交付金は、既存の事業であっても認められる可能性があります。例えばモウモウまつり。これまで町の単独事業として行ってまいりましたが、コロナ対応の分散型の交流人口増加事業だということで、地域のブランド牛による町おこしでもあることから、デジタル田園都市国家構想交付金のドンピシャの事業で認められる可能性が高いです。このような採択可能性のある既存の事業と、職員のすっだい新しい事業をまとめて、職員とともに11本のデジタル田園都市国家構想交付金を申請しております。 中には、全国で10地域のみ選定される狭き門の補助金にもチャレンジし、獲得できる見込みもたってきております。国から得る国庫支出金の歳入が増えたのは、私とともに、はじめて補助金を申請した課長補佐、係長クラスの努力の賜物です。これはどうしても実施したいという熱意を感じるとともに、彼らのおかげで、私は西川の未来を感じることができました。
私は、昨今の地方創生は、攻撃は最大の防御、つまり挑戦は最大の人口流出防止策と考えております。これからも、町民や職員のすっだいことの実現に向けて、対話し、私も直接霞が関に通い、財源の確保を図り、常に西川町は60億円台の予算を維持してまいる所存でございます。

さて、国の方に目を向けますと、我が国の経済は、ウィズコロナの考え方の下、経済社会活動を極力継続できるよう取り組んできた結果、新型コロナウイルス感染症が経済に与える影響は小さくなり、景気は前向きな動きが続いております。一方で、世界的な脱炭素化の流れの中で、コロナ禍からの世界同時的な景気回復やウクライナ情勢による影響が加わり、約30年ぶりの物価上昇率に直面しています。先行きについても、原材料価格のさらなる高騰、世界的に進む金融政策正常化に伴う金融資本市場の変動など様々な下振れリスクがあり、これらへの対応に万全を期し、コロナ対策から経済社会活動の回復を確かなものとしていく必要があります。
このような中、編成された国の一般会計予算規模は、114兆円を超え、11年連続で過去最大を更新したところでございます。歴史の転換期を前に、「安全保障・外交」、「子ども政策」、「自治体のデジタル実装の加速化」といった直面する内外の重要課題に対して道筋をつけ、未来を切り拓くための予算であるとともに、骨太の方針に基づき、歳出改革の取組を継続するとしております。

地方財政対策では、一般財源総額については前年度を上回る65兆円、うち地方交付税は、原資となる国税法定率分や交付税特別会計の令和4年度からの繰越金の増加により、前年度を約3,000億円上回る約18兆4,000億円が確保されております。社会保障関係費の増加が見込まれるなか、住民のニーズに的確に応えつつ、地域のデジタル社会推進費にマイナンバーカード利活用特別分を増額するほか、地方への人の流れの拡大の推進に対する財政措置が拡充されました。地方財政は国の政策によって大きく影響を受けることから、今後においても国の状況を常に注視してまいります。

それでは、本町の令和5年度の当初予算案の概要を申し上げます。

はじめに本町の財政状況について申し上げます。
令和3年度の決算における経常収支比率は88.5%と依然として財政の硬直化状態が続いているものの、財政の健全化判断比率である実質公債費比率が11.5%、将来負担比率は「比率なし」と、財政指標においては財政健全化が保たれていることを示しております。
しかし、本町の財政構造は、大半を地方交付税、国県支出金、町債など依存財源で占めており、国の債務残高が年々増大するなかにあって、今後の国の歳出改革によっては地方交付税が抑制されるなど、一般財源の確保が不透明な状況にございます。
また、歳出面においても、公共施設や道路・橋・上下水道などのインフラ施設更新や改修、長寿命化対策などの経費の増加、さらに近年頻発する豪雨災害など自然災害による災害復旧費などの支出が町財政を圧迫することになり、財政調整基金の確保など長期視点に立った財政運営を図っていく必要がございます。
このような状況において、町として持続していくためには、事業の選択と集中を徹底し、効果のない事務事業の見直しや、国県補助金や企業版ふるさと納税を含めたふるさと納税の活用、企業誘致による税収の確保、地域おこし協力隊などの外部人材や民間企業との連携、デジタル化の推進や積極的な情報の発信など、より業務の効率を上げた行財政運営を行っていく必要がございます。対話を通じながら、稼ぐ・稼ぎ続けるまちづくりを目指し、生産年齢人口の8年後の増加につながる政策を実施していくことが重要と考えております。

予算編成にあたっては、令和5年度からの8年間を計画期間とする西川町第7次総合計画(案)に掲げている目指す町の将来像「8年以内に生産年齢人口の増加に向けて、できるだけ早く町民と多様な取組において協働し、町外の方から共感を持っていただける町となる」ことを目指します。5つの基本目標として、「地域の資源とデジタルを融合させた魅力ある産業、仕事がある西川町をつくる」、2つ目「外に開かれ、みんなをつないでパートナーシップを大事にする西川町をつくる」、3つ目「子育ての希望をかなえ、この地域ならではの学びを保障する西川町をつくる」、4つ目「町民だれもが安心して豊かな心で生活できる魅力的な西川町をつくる」、最後に「デジタル田園都市の実現に向けて全力を尽くす」の5つの基本目標を達成するための最初の一手となる施策を進めることを基本方針として編成して臨んできたところでございます。
また、新規事業については、ニーズベース、地域課題の解決、町内への経済効果、関係人口の拡大、持続可能性、そして財源確保の6つの観点で事業を選択してきたところでございます。特に、財源確保については、これまで残念ながら西川町が活用してこなかった内閣官房・内閣府の「デジタル田園都市国家構想交付金」をはじめ、環境省や観光庁のアイデア勝負で競争率の高い各補助金獲得への挑戦を促すとともに、庁舎内だけでの議論にとどまらず、ノウハウを持った民間企業や関係者との企画段階からの対話や協力を仰ぎながら、業務を推進するよう指示しているところでございます。

予算規模でございますが、一般会計につきましては総額で前年度比18.7%、
10億4,900万円増の66億5,800万円といたしたところでございます。
町民の皆様や職員のやりたいことを実現させたいとの想いで予算査定をした結果、西川町町制史上過去最大の予算となりました。
予算額が大幅に超えたことで、町政運営を心配されている方もいらっしゃるかもしれません。それは、「安心してください」と、私は言葉をかけたいと思っております。なぜなら、国の補助金を倍増させたほか、民間の企業版ふるさと納税、個人版ふるさと納税による民間資金の増加により、町の貯金の取り崩しであります財政調整基金及減債基金からの繰入は、前年度よりも1.2%、717万円少ない、まさに持続可能な予算編成となっております。予算は18%増えたけれども、町の貯金の取り崩しは減っている予算編成になっております。
この国の補助金が得られるのも、地域と町、そして民間企業が対等の立場でアイデアを出し合ったからであり、そのアイデア勝負の交付金の獲得の見込みがついております。また、この交付金を得られやすくなったのは、町民の皆様にもご協力をいただきましたマイナンバーカード申請率の高さが背景にあったことは間違いありません。

歳入については、町税が、増築家屋や償却資産分の増による固定資産税の増加などにより、わずかに前年度比0.9%、590万円増の6億8,517万円を計上したところでございます。
地方交付税は、地方財政計画における地方交付税総額の増加や、マイナンバーカードの交付率が「上位3分の1の市町村」において割増されるマイナンバーカード利活用特別分の増加、地域おこし協力隊など外部人材の活用の増加により、前年度比25.0%増の23億5,000万円を計上したところでございます。
国庫支出金は、産業複合施設建設やテレワーク施設の整備、全世帯へのタブレット端末の配布や住民票のコンビニ交付などの町民の利便性を目的としたデジタル化推進事業、また、「稼ぐ」につながる関係人口の創出・拡大、更に、観光振興事業に対する財源として、デジタル田園都市国家構想交付金4億6,412万円を充てるなど、総額で前年度比130.0%、5億6,799万円と大幅な増の10億505万円を計上してございます。
寄附金は、企業版・個人版ふるさと納税の増加を見込み、前年度比66.6%増の2億5,005万円を計上しております。
町債は、町営住宅整備事業や産業複合施設整備事業、道路橋梁等整備事業など各事業費に発行を見込み、総額で前年度比23.8%増の7億3,380万円を計上し、令和5年度末の町債残高を54億3,151万円と見込んだところでございます。

歳出については、人件費が会計年度任用職員の報酬単価のベースアップなどにより増加したものの、公債費が統合小学校建設事業の償還が終了したため減少し、扶助費をあわせた義務的経費は前年度比2.1%減の19億4,033万円を計上しております。また、デジタル田園都市国家構想交付金を活用した各事業の実施により物件費が前年度比59.0%増の12億1,720万円、補助費が前年度比16.5%増の10億5,808万円を計上しております。

それでは、予算編成方針に掲げた5つの基本目標ごとに、令和5年度の重点施策につきましてご説明申し上げます。

1つ目は、「地域の資源とデジタルを融合させた魅力ある産業、仕事がある西川町をつくる」ことでございます。
地方が経済的に自立するためには、デジタル技術を活用し地域産業の生産性の向上を図るとともに、地域発の事業創出のみならず、地域企業への貢献に熱心な人材や企業版ふるさと納税に熱心な事業者などの地域外の人材・事業者を取り込み、新たな仕事づくりや雇用創出を図ることが重要でございます。
このため、地域課題の解決や事業創出のための新たな賑わいづくりの拠点となる産業複合施設、複業人材等を活用した中小企業等の伴走支援や事業承継支援、農産物の安定供給や持続可能な農林業の確立を目指した山菜収穫の担い手確保やスマート農業の導入実証、森林資源である西山杉を活用した移動式サウナ事業支援、木質バイオマス発電および次世代施設園芸可能性調査などを行ってまいります。特に、観光客、つまり交流人口の拡大は、関係人口の基礎の部分であり、拡大する必要がございます。しかし、西川町の観光を支えてきた月山夏スキーは、スキー客の減少と高齢化により、持続可能性の観点から、月山夏スキーへの依存度を徐々に逓減させる観光ターゲットのモデルチェンジは必須でございます。このため、首都圏や仙台圏、年齢層とすると、60代以上または若年層をターゲットとして、AI謎解き観光、温泉ガストロノミーツーリズム、シートゥサミットなどの観光イベントの確立、月山湖カヌースプリント競技場艇庫を中心とした「月山カヌービレッジ構想」を進める必要がございます。

2つ目は、「外に開かれ、みんなをつないでパートナーシップを大事にする」ことでございます。
町民との協働を確かなものにするためには、町が積極的に情報発信を行うとともに、「だれが何で困っているのか」、「誰が何をしたいのか」を可視化する取り組み、そして私の政治姿勢のモットーである「対話」を積極的に行う必要があります。
このために、令和4年度に引き続き、各種施策をテーマとし対話会、地域や地区を超えたグループでのやりたいこと、コミュニティ活動に対して支援をしっかりと行ってまいります。
また、近年のデジタル化の進展は、地理的・時間的な条件にかかわらず、あらゆる地域で同じような働き方やコミュニケーション環境を整えることが可能となってきております。特に町に継続的に多様な形で関わる関係人口は、町民との信頼関係をベースに、町の課題解決や魅力向上に貢献する貴重な存在となっており、この関係人口との関わりを深化させることで、経済の活性化や町の付加価値創出につながります。
このために、令和5年度は、サテライトオフィス誘致業務やテレワーク環境整備、首都圏でのカフェの出店や各種イベントでの物販、西川町での暮らし体験に対する支援、また地域力創造アドバイザーや地域活性化起業人、地域おこし協力隊といった外部人材と連携し、関係人口、西川ファンの創出・拡大を図ってまいります。
そして定例会にも上程をしているところでございますが、西川町と西川ファンをつなぐ、また、町民と町民をつなぐお節介役を担う「つなぐ課」を4月から庁舎内に設置します。

3つ目は、「子育ての希望をかなえ、この地域ならではの学びを保障する西川町をつくる」ことでございます。
西川町のみならず、年々深刻さを増す少子高齢化は、地方の活力維持や持続可能性に大きな影響を及ぼす事態となっております。また、地域の活性化を図る上でも、若い女性を含めた働きやすい環境を整えるなど子育てしやすい環境づくりを進めていくことが重要でございます。
これまでも婚活支援や子育て祝い金、紙おむつ代補助、助産師相談、未満児保育、放課後子どもプラン、高校生までの医療費無料化など、子育て支援施策の充実を行ってきたところでございますが、令和4年度からは更に、電子母子健康手帳のアプリの導入や高校生への通学支援、9月からの保育園、小中学校の給食費の無償化を実施してきたところでございます。さらに令和5年度は、西川町に帰郷する学生に対して、実質返済を免除する教育ローンを県内初めて導入し、これまで以上の妊娠、出産、子育てにわたる切れ目のない支援を図ってまいります。
一方で教育面では、町が持つ自然や歴史文化など教育資源を活用した体験学習や地域課題解決に向けたチームでの活動を積極的に進めることで、本物に触れる質の高い学びを実現する「保小中一貫コミュニティスクール西川学園」を充実させていきます。また、すでに整備しているタブレットなどのデジタル技術を最大限活用しまして、教育の機会の均等、学校における働き方改革、個別最適な学びの観点から、誰一人取り残すことのない教育の実現に取り組んでまいります。
具体的には、これまで実施してまいりました体験学習、体験型英語研修施設での英会話研修、英語検定の補助に加え、独自の英語検定試験を新たに実施し、さらなる英語教育の充実を行ってまいります。また、姉妹提携をしております台湾師範大学や南湖小学校とのオンライン交流や、都会の子どもやその家族が西川町の生活を体験する「サテライトスクール」や「保育園留学」事業を新たに実施してまいります。このアンケートを踏まえ西川学園がどのような価値があるのか、どのようなところで他の地域に優れているのかを、職員自らの口で説明できるように、今年1年でしてまいりたいと考えております。

4つ目は、「町民だれもが安心して豊かな心で生活できる魅力的な西川町をつくる」ことでございます。
町民の皆様が安心して暮らし続けるためには、日々の生活に必要な道路などの社会資本、医療・福祉、交通、環境、消防などの行政サービスを享受できる必要がございます。昨年実施した町民アンケートにおいても、除排雪の対策、医療・福祉サービス、公共交通は重要度が高いことが示されました。これらの重要度の高い3つの施策の充実はもちろんのこと、現在のデジタル技術も取り入れながら、生活面での課題を解決する新たな取り組みが必要です。
令和5年度においては、除雪の効率化を図るための除雪管理システムの導入や路線バスの「道の駅にしかわ・寒河江線」の増便を行います。また、町立病院においても病院機能の存続を第一義としながら経営強化プランを策定してまいります。その他にもデジタル技術を活用し、防災行政情報を伝達するタブレット端末の全世帯への配布や住民票など各種証明書のコンビニ交付やオンライン交付の申請、交流センターあいべや町民体育館の予約を携帯電話などからでも予約できるシステムを導入し、町民の皆様の利便性を図ってまいります。

五つ目は、「デジタル田園都市の実現に向けて全力を尽くす」ことでございます。
第7次総合計画(案)に掲げている目指す町の将来像「8年以内に生産年齢人口増加に向けて、できるだけ早く町民と多様な取組において協働し、町外の方から共感を持っていただける町となる」これを行う施策や事業にあたっては、予算編成の方針の中で示した6つの観点から評価のうえ選択してまいりました。その中でも国・県・民間の交付金や企業版ふるさと納税、個人版ふるさと納税などの財源を確保し、町として持続可能な財政運営に努めてまいります。

以上、町政運営に関する方針と主要施策を述べさせていただきました。

昨年4月の町長就任以来、面白い事業を行っていると、報道機関にも取り上げられ、また、それを体験したユーザーからの西川町の他己紹介頂き、国や県、町外の民間企業も注目していただくことができました。既に西川町に対して、140件以上の提案をいただいております。この予算規模を令和5年度以降も維持できるように、私も永田町や霞が関に、個別にお願いやご説明に伺って、西川町の発展に尽力していく所存でございます。

攻撃は最大の防御の時代、つまり、挑戦は最大の人口流出防止政策でございます。
私は、小さな町での愚直な挑戦の反復に対して、共感を生み出し、人と人を丁寧につなぎ、ともに汗を流して、町民や関わった関係人口のウェルビーイングを高め、共創と笑顔、チャレンジし続ける町に変えてまいります。
一般的には、賛成9割、反対1割の政策であっても、これを、スピード感をもって進めていけば、選挙において批判票になり苦戦すると言われております。私は、それを恐れていません!歩みを止めることはありません!
なぜなら、西川町に残された時間はありません。人口4,000人を割り込むまで、あと8年。多くの町民があきらめかけていた西川の未来に、光を見出すことが政治であり、リーダーにかかっています。私は、これまでの役人としての人脈、民間人としての人脈、ネットワーカーとしての人脈をすべて西川にささげます。この覚悟と熱意が、議員の皆様、町民の皆様、職員に対しても伝わることを願っております。
何度も申し上げますが、攻撃は最大の防御、挑戦は最大の人口流出防止策との志の下、臆せずチャレンジし続け、一発逆転!8年後の生産年齢人口の増加に向けて、本気で取り組み、ともに対話し、今さらに生まれ変わろうと、岐路に立つ西川町の先頭を歩んでまいります。