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身体拘束最小のための指針


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印刷ページ表示 更新日:2024年11月1日更新

身体拘束最小化のための指針を定めました

身体拘束最小化のための指針

西川町立病院

1.身体拘束最小化に関する基本的な考え方                  

 身体拘束は、患者の自由を制限することであり、患者の尊厳ある生活を阻むものです。当院では、患者の尊厳と主体性を尊重し、拘束を安易に正当化することなく、職員一人ひとりが拘束による身体的・精神的弊害を理解し、拘束廃止に向けた意識をもち、緊急やむを得ない場合を除き身体的拘束をしない医療・看護の提供に努めます。

 

2.基本方針                                

(1)身体拘束の原則禁止

 当院は、患者または他の患者等の生命又は身体を保護するために緊急やむを得ない場合を除き、原則として身体拘束の実施を禁止する。

 この指針でいう身体拘束は、抑制帯等患者の身体または衣服に触れる何らかの用具を利用して一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限をいう。

 

(2)緊急やむを得ず身体拘束を行う場合

ア、緊急やむを得ず身体拘束を行う要件

 患者または他の患者等の生命又は身体を保護するための措置として、緊急やむを得ず身体拘束を行う場合は、次の「3要件」をすべて満たした場合に限り、必要最低限の身体拘束を行うことができる。

緊急・やむを得ない場合の3要件

切迫性

患者等本人又は、他の患者等の生命又は身体が危機にさらされる可能性があり緊急性が著しく高いこと。

非代替性

身体的拘束その他の行動制限を行う以外に代替する方法がないこと。

一時性

身体的拘束その他の行動制限が一時的なものであること。

イ、身体拘束を行う場合は、当院の「身体拘束最小化のためのマニュアル」に準じる。

 

(3)身体拘束等禁止の対象としない具体的な行為

 当院では肢体不自由や体幹機能障害あり残存機能を活かすことができるよう、安定した体位を保持するための工夫として実施する行為については、身体拘束等禁止の行為の対象とはしない。

・整形外科疾患の治療であるシーネ固定等

・身体拘束等をせずに患者を転倒や離院などのリスクから守る事故防止対策

ア、離床センサー

イ、赤外線センサー

ウ、起き上がりセンサー

(4)その他の日常ケアにおける基本方針

 身体拘束を行う必要性を生じさせないために、日常的に以下のことに取り組む。

ア、患者等主体の行動、尊厳ある生活に努める。

イ、言葉や対応などで、患者等の精神的な自由を妨げないよう努める。

ウ、患者等の想いをくみとり、患者等の意向に沿った支援を行い、多職種協働で個々に応じた丁寧な対応に努める。

エ、患者等の安全を確保する観点から、患者等の自由(身体的・精神的)に安楽を妨げるような行為を行わない。

オ、薬物療法、非薬物療法による認知症ケアやせん妄予防により、患者の危険行動を予防する。

カ、「やむを得ない」と身体拘束に該当する行為を行っていないか、常に振り返りながら患者等に主体的な入院生活をしていただけるように努める。

 

(5)向精神薬等薬剤使用上のルール

 薬剤による行動制限は身体拘束には該当しないが、患者・家族等に説明を行い、同意を得て使用する。

ア、不眠時や不穏時の薬剤指示については、医師・看護師、必要時には薬剤師と協議し対応する。

イ、行動を落ち着かせるために向精神薬等を使用する場合は、医師・看護師等で協議を行い、患者に不利益が生じない量を使用する。また、薬剤の必要性と効果を評価し、必要な深度を超えないよう適正量の薬剤使用を検討する。

 

3.身体拘束最小化のための体制                        

(1)身体拘束最小化委員会の設置

 院内に身体拘束最小化対策に係る「身体拘束最小化委員会」(以下「委員会」という。)を設置し、年1回以上委員会を開催する。

ア、設置目的

・院内での身体拘束廃止に向けて現状把握及び改善の検討をする。

・身体拘束を実施せざるを得ない場合の検討をする。

・身体拘束を実施した場合の解除の検討をする。

・身体拘束廃止に関する職員全体への指導をする。

※報告、改善のための方策を定め周知徹底する目的は、身体拘束適正化について院内全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、職員の懲罰を目的としたものではない。

イ、構成員

 医師、看護師(認知症ケア委員会を含む)、薬剤師、理学療法士、事務員等をもって構成する。(委員長は副院長とし、その時参加可能なチーム員で構成する。)

ウ、委員会の役割

・身体拘束の実施状況を把握し、管理者を含む職員に定期的に周知徹底する。

・身体拘束実施事例の最小化に向けた医療・ケアを検討する。

・定期に本指針・マニュアル等を見直し、職員へ周知して活用する。

・身体拘束最小化のための職員研修を開催し、記録する。

・発生原因、結果等を取りまとめ当該事例の適正化と適正化策を検討する。

 

4.身体的拘束廃止、改善にための職員教育                          

 医療・ケアに携わる全ての職員に対して、身体拘束廃止と人権を尊重したケアの励行を図り、職員教育を行う。

ア、毎年研修プログラムを作成し、年1回以上の教育研修を実施し、実施内容を記録する。

イ、新任者に対する身体拘束廃止、改善のための研修を実施する。

ウ、新規採用時に研修を実施する。

 

5.やむを得ず身体拘束を行う場合の対応(緊急時も対応、注意事項)                       

 患者または他の患者等の生命又は身体を保護するための措置として、緊急やむを得ず身体拘束を行わなければならない場合、以下の手順に従って実施します。

ア、記録、集計、分析、評価の専用の様式を用いて、その態様及び時間・日々の心身の状態等の観察を記録する。

イ、緊急やむを得ず身体拘束をせざるを得ない状態であるかどうかを、医師と看護師を含む多職種によるカンファレンスで検討する。必要と認めた場合、医師は身体拘束の指示をする。

ウ、医師は同意書を作成し、事前に患者・家族等に説明して身体拘束開始の同意を得る。ただし、直ちに身体拘束が要する切迫した状況で、事前に同意を得ることが困難な場合は、身体拘束開始後直ちに家族等に説明して同意を得る。

説明内容 : 1)身体拘束を必要とする理由

       2)身体拘束の具体的な方法

       3)身体拘束を行う時間帯・期間

       4)身体拘束による合併症

エ、患者・家族等の同意が得られない場合は、身体拘束をしないことで起こり得る不利益や危険性を説明し、診療録に記載する。

オ、身体拘束中は身体拘束の態様および時間、その際の患者の心身の状態並びに緊急やむを得ない理由を記録する。

カ、身体拘束中は毎日、身体拘束の早期解除に向けて、多職種によるカンファレンスを実施する。カンファレンスでは、やむを得ず身体拘束を行う3要件を踏まえ、継続の必要性を評価する。

キ、医師はカンファレンスの内容を踏まえて身体拘束の継続または解除の有無を指示する。

ク、身体拘束を継続する必要がなくなった場合は、速やかに身体拘束を解除する。

6.身体的拘束適正に向けた各職種の責務および役割                      

 身体拘束廃止に向け、各職種の専門性に基づくアプローチから、チームケアを行うことを基本とし、それぞれの果たすべき役割に責任をもって対応する。

ア、院長

 身体拘束における諸課題等の責任者

イ、副院長

 施設内での身体拘束廃止に向けての現状把握および改善についての検討、管理運営

 身体拘束を実施せざるを得ない場合の検討、管理運営

 身体拘束を実施した場合の解除の検討、管理運営

 身体拘束廃止に関する職員全体への指導、管理運営

ウ、総看護師長、副総看護師長、病棟看護師長、外来師長、看護職員等

 拘束がもたらす弊害を正確に認識する

 患者等の尊厳を理解する

 患者等の疾病、障害等による行動特性の理解

 患者等個々の心身の状態を把握し基本的ケアに努める

 患者等とのコミュニケーションを十分にとる

エ、医療職員

 医師との連携

 施設における医療行為の範囲を整備

 重度化する利用者の状態観察

 記録の整備

 記録は正確かつ丁寧に記録する

 

7.この指針の閲覧について                                 

 当院では身体的拘束廃止に関する指針は、求めに応じていつでも院内にて閲覧できるようにする共に、当院のホームページにも公表し、いつでも患者及び家族が自由に閲覧できるようにする。

 

附則 

本指針は、令和6年11月1日より施行する。