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令和7年度施政方針表明


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印刷ページ表示 更新日:2025年3月3日更新

施政方針

 

1.冒頭、除雪に関する皆さまへお礼を申し上げます!  

「隠れ積雪日本一」を評されるわが町。
大変厳しい自然環境の中でも、私たちが安心して住むことができるのは、建設業者はじめ除雪に関わるすべての皆さま方が、深夜に起床され不規則な生活を強いられながらも除雪をしていただいているからです。
また、森林組合や民間会社、地域の方々が高齢者のご自宅での除雪を担っていただき、心から敬意を表します。

さらには、町民の皆さま、毎日のような除雪作業お疲れ様でございました。大雪の影響から除雪等でお怪我をされた方、心からお見舞いを申し上げます。

それでは、来年度の施政方針を述べさせていただきます。

 

2.施政方針にあたり、私の心構え等を申し上げます

人口減少が続く中、西川町は、ここ10年が勝負どころです。

私は、この町の岐路にあたる重要な時に、町民の皆さまより付託いただきました。
本日は3月3日でございます。3年前の3月3日は、私が国家公務員を辞した日でございます。

3年前の今日は吹雪でした。息もできないくらいの猛烈な吹雪の中、私は、古澤町議や菅野町議と町の1軒1軒を回ってご挨拶をしていました。
特に、古澤議員は、「俺は、この若者にかけているんだ。彼なら大丈夫だ。頼む。俺が責任をとる。」と、ご自身の信頼を、地盤・看板・カバンもない私に分けてくれた瞬間でした。 

この古澤議員のようなお世話になった方々、期待している方々に応えていかなければならない。これが私の原動力の1つです。
なお、古澤議員は、政治と何かを教えていただいた恩師です。恩師たる古澤議員の快復を、心から切に祈念いたします。

もう1つの原動力は、幼い頃に感じた劣等感に対する反発です。
私は、小学生のころ、野球のスポ少「西川ライオンズ」に入団していました。人数の多い相手チームは、人数の少ない、わがチームとの対戦を喜びました。
中学校時代も陸上競技のリレー等団体競技で、大きな中学校に勝てず笑われるような悔しい経験をいたしました。
なぜ、生まれた町、入学した学校によって、こんな思いをしなくてはいけないのかと、幼いころに思いました。
西川町出身の方々、同じような経験はなかったでしょうか。私は、今の西川の子供たちに、このような悔しさを経験させたくありません。
そうならないように、私たちは頑張らなくてはいけません。

今申し上げた2点をエネルギーの源泉として、来年度も現場を大事に、職員と一体感をもって、町民の皆さまから信頼を頂けるよう取り組んでまいります。

 

3.令和7年度における4つの基本方針

わが町の最大の課題は、急激な「人口減少」です。私が小学生だった40年程前は、人口8,000人を超えていました。スキー・野球などのスポーツ少年団もありました。家族とも喫茶店や町内のスーパーにも出かけました。
地域では、春にはお祭り、夏には盆踊り、秋には区民の運動会、冬には灯篭づくりなど、四季を通じて恒例行事がありました。私は、人は少なくなっても、笑顔の絶えない町を取り戻したいと思っています。

そのためには、町民の皆さまとともに、町民同士が、あるいは新しく町に来ていただいた方の悪口を言ったりするのではなく、ともに助け合う、寛容な町・楽しい西川町を目指します。

来年度の町政の基本的な考え方は、次の4つであります。

(1)寛容な町をさらに進展させたい

民間企業の調査結果によれば、寛容な地域・希望を感じる地域と人口増加は、正の相関関係があります。
つまり寛容な町、希望を感じる地域は、人口増加に転じやすいということです。

寛容な町となるためには、正しい情報を提供し、町内外の方々が交流し合って理解し合うことが必要です。

交流を促すため、「こんな方がこんな目的で西川町にお越しになります」などの情報をすみやかに提供することが重要です。
それには、全世帯に配備したタブレット「つながるくん」を活用します。人と人をつないで不安を取り除く反復が必要です。

このようなことは、行政の仕事ではないという方もおられるかもしれません。
しかしこの10年、できることはなんでもやる!この精神で、子供たちの活躍、地域の活動など交流をするきっかけづくりの一助となりたいと思います。
また、ごちゃまぜ交流を促すため、ミニデイに移住希望者が参加する、また町主催行事に地域を超えた町内外の方々が交流する仕組みに加え、トラス、サロン拠点など集まりやすい拠点づくりも支援してまいります。

現在、健康福祉課が主力となり、わが町はどの地域に住んでいても介護予防の取組・ミニデイ活動が等しく受けられるようになりました。
今年度のミニデイの回数は前年の2倍となりました。参加者からは、町内各区、吉川・大井沢・間沢を回って「新たな発見があった」とお聞きします。
地域が主体となって、地域間でのごちゃまぜ交流が進めてもらっていることに本当にうれしく思います。

今申し上げた寛容な地域となるためには、「行政・政治への信頼がある」「町の動きが活発である」この2点も重要であります。

(2)DX活用により効率的な役場をつくり、対話の時間を作りたい

西川町は、3年前のコロナ特別交付金の一部を職員に投資しております。近隣町村が商品券を幅広く提供する中、わが町は、商品券のご提供を高齢者に絞り、職員の求めに応じて、交付金の一部をデジタル推進の予算に充てました。
これにより、職員1人1人にノートパソコンが配備され、またメールアドレスが付与され、デジタルトランスフォーメーションを進める基盤が確立されました。
さらに、山形県にも先駆けて、Microsoft365、情報を瞬時に共有するグループウェアなど、最新鋭のデジタルツールも導入しました。

これにより、町民のお困りごと、ご提案等個別のご質問に対しても、町職員で共有し、担当課だけでなく関係者と対応することができます。
また、年60回以上もの対話会で得た情報も各課で共有され、これを解決していくために「どうやったら、できるか」「補助金を得るために、どのように進めていくのか」などの議論を進めていけるようになり、要望を叶えるための実効力がついてきたと思います。

しかしながら、人は、うわさや声の大きい方、1人でいくつも要望する方に流されがちです。
行政としても、できない理由を明確に説明してこなかったかもしれません。

これからは違います。私も職員も、言いにくい真実さえも語る。
逃げることなく、正面から対話するそのような組織を作ってまいります。

来年度は、DX導入による業務の効率化を行うとともに、DX導入に伴う規則を改正し、効率的な運営を行ってまいります。
西川町は、総務省からフロントヤード改革業務(全国8つ)の採択をいただきました。全国で8自治体が選定される狭き門です。これにより、例えば、紙でいただいた請求書はRPAを通じて伝票処理ができます。

このように、来年度、行政事務の効率性を突き詰めてまいります。
このため、予算の配分もいくつか変更がございます。議員の皆さまにとって、今年度と来年度の予算案は、一見比較しにくいかもしれません。
例えば、今年度まで備品は、各課に予算配分され各課で定期的に調達しておりましたが、来年度は総務課に予算を集約し、年に数回、まとめて購入するような仕組みに変えていこうと考えているからです。

議員の皆さまには、ご不便をおかけしますが、ご質問・ご要望いただければ、しっかり対応してまいりますので、町民との対話時間を増やすため予算案の記載内容が昨年と異なること、どうかご協力いただくとともに、ご海容の程お願い申し上げます。

今申し上げた行政の信頼を増すための取組のほかに、「町の動きが活発な地域」と感じている必要があります。このため、

(3)「町の動きが活発だ」と思われる地域づくりも必要です

行政としては、今年度、昨年とほぼ同じような催事を行います。
なるべく早く、スケジュールや内容も発表し、町民や西川ファンが関われるところがないかを考えられるよう情報発信し、段取りよく進めてまいります。

また、元気な町と思ってもらえるよう、広報を充実させます。

1つ目、国道沿いの看板の充実です。西川町の認知度を調査したところ、多くが国道沿いの施設でした。
町有地だけでなく、町民の皆さまの国道沿いの建物もお借りし、効果的な広報を行います。

2つ目、新聞やテレビに掲載できるように戦略的に報道機関と対話を行ってまいります。
例えば、報道機関の対話を経て、「日本一の雪国宣言」から「隠れ積雪日本一」に変えたことにより報道が増えました。
西川町の全体の報道件数も大きく伸びています。令和3年の年間40件、令和6年度は160件の4倍に増えました。

3つ目、引き続き、SNS、特にLINEやインスタグラムでの発信やつながるくんでの発信を強化してまいります。
今、つなぐ課の若手職員が頑張ってくれています。

さらに、町民が団体を組んで、やりたいことを支援する「すっだい補助金」も充実させてまいります。
町内の気になるところを草刈りする「西川きれいにし隊」などは、この補助金を契機に継続して活動いただいております。

今年度は、さらに役場内だけでなく、町民の皆さまにも各方面でご協力いただきたいと考えております。

(4)町民の皆さんを巻き込んだ取組への挑戦を継続させたい

いくら行政職員が頑張っても限界があります。町民の皆さんからご協力いただく必要があります。 
これまでも町民の皆さんを巻き込んだ取組が実を結びつつあります。 

例えば、「ごちゃまぜ交流で寛容な地域をつくるぞ!」という町のスローガンが徐々に浸透していただいているようです。
各地区でごちゃまぜを意識した取組を行っていただいております。新しく整備された「いきいきサロンさらぬま」を他の地域の方がご活用いただきました。私も想像しておらず、とても嬉しかったです。 

また、つながるくんの「確認ボタン」へのご協力も感謝しております。年明け以降も60%以上の方々が、確認ボタンを押して頂き、タブレットを利用した食育事業として給食費無料につなげることができました。
給食費無料化、ミニデイのバス無料化に向けた財源の確保など、全国で唯一、タブレットを生活インフラに昇華させた自治体として、国から10億円以上の事業費を獲得できているのも町民の皆さまのご協力のおかげです。 

今月より、さらに、新たな取組として町民の皆さまにご協力いただきたいことがございます。
目的は、恒久的な財源を確保るための文化財登録です。本日現在、登録数は36です。これを今年5月までに1,000以上に増やすため、特別チームを組成します。
文化財1点につき1万円の特別交付税が国から町に交付されます。国の補助メニューの少ない歴史文化振興や地域振興に向けた財源を確保してまいります。
文化財は、所有権が町民であってもかまいません。ご自宅の掛け軸や、お近くの祠(ほこら)、お地蔵様などの情報を町にお寄せいただければと思います。 

 

4.具体的な事業は「第7次西川町総合計画」を羅針盤として進めます

総合計画は、令和12年度までの町の具体的な事業を定めた中期計画であります。
本計画では5つの基本目標(稼ぐ、つながる、育む、支え合う、持続する)を掲げ、その中に95個の目標値があります。

令和5、6年度の成果としては、その目標値のうち75%の目標値が順調に進捗しております。これも、職員の不断の努力の賜物であります。
なお、審議員の方々からは、令和5年の人口の社会減ゼロとなった成果を特にご評価いただきました。 

今後も、わが町は、外部環境の変化や、国や県の方針変更等にも柔軟に対応し、毎年、本計画を更新してまいります。 

参考
  • 第1章 「稼ぐ!」地域の資源とデジタルを融合させた魅力ある産業、仕事がある西川町をつくる
  • 第2章「つながる!」外に開かれ、みんなをつないでパートナーシップを大事にする西川町をつくる
  • 第3章 「育む!」子育ての希望をかなえ、この地域ならではの学びを保障する西川町をつくる
  • 第4章 「支え合う!」町民だれもが安心して豊かな心で生活できる魅力的な西川町をつくる
  • 第5章 「持続する!」地方創生2.0の実現に向けて全力を尽くす

 

これらの5つの章で構成される総合計画は、決して絵に描いた餅ではありません。本気で実施してまいります。
本計画は、職員の手引書として位置づけるだけでなく、各職員一人一人の人事評価の対象としてまいります。

そして、これらの諸施策・諸事業の目標を達成した結果、歴史あるわが町は、消滅することなく、生き残ることができるものと確信しております。

 

5.来年度の予算規模は2割増の90億円に上ります

令和7年度の一般会計当初予算額は、前年比+20.4%増(15 億2,200万円)の大幅増加の町政史上初の90億円です。3年連続で過去最大の予算規模です。 
支出が多くなりましたが、地方債の発行は前年比66%減の約3億円、また資本と言われる財政調整基金・減債基金は、取崩額3億7,823万円(前年比+17.3%)にとどめています。  

このように予算額が大幅に増加した一方で、地方債の発行額を抑え、基金取崩額を大きく増加させずに予算を編成することができました。
これを可能にしたのは、国から得られる国庫支出金や特別交付税、外部資金である、ふるさと納税の大幅増によります。 

特に、国の新しい地方経済・生活環境創生交付金は、短期間の申請期間でありながら、3年間で総額50億円の事業費(令和7年度分申請は14億円)を申請できたのは、職員がいつも町民の皆さまと対話し、課題を詳細に把握し、つなぐ課が連携すべき民間企業とマッチングできたことが大きな要因です。
さらに、補助金獲得に向けて副町長やかせぐ課、総務課、観光課などで特別にチームを編成するなど、柔軟に対応してくれた職員の不断の努力の賜物です。 

 

6.最後に

先ほど、総合政策審議委員会委員からご評価いただいた、社会減ゼロを達成するなど、現在のような奇跡は、私だけでできるものでは決してございません。
町職員も、第三セクター職員も、町民も、西川ファン、連携企業さまのおかげです。町民同士が悪口を言い合ったり、足を引っ張ったりするのではなく、ともに助け合い、悲しむ人、苦しんでいる人、そういう人たちを助け合う、楽しい・寛容な西川町にしたいと思っております。 

楽しい・寛容な西川町となれば、令和12年度には自ずと人口の社会増に転じ、やがては生産年齢の人口増、そして人口増に転じるようになるでしょう。 

しかしながら、近年、町で誕生する赤ちゃんの数は、毎年10名前後。人口の社会増となるまでは、人口減少の大きな波が押し寄せてまいります。 

私は、この町の船頭として、気候変動、デジタルの進展などの急激な社会の変化の中でも、国の政策の風を読み、前例がないことでも果敢にチャレンジし、チャンスをしっかりつかんでまいります。  

町は、人口減少の大きな波に対しては、100億円以上の予算で迎え撃ち、町民全員が「この町に住んでよかった」「ずっと住んでいたい」と思われる町を、全身全霊で必ず作ってまいります。 

議員の皆さまも、町民に加え我々とも対話を深め、子供たちに胸を張って「西川町出身!」と言えるような町づくり、また人口増加が見込まれる寛容なまちづくりに向けて、ご協力のほどお願い申し上げます。
ともに頑張りましょう🔥 

 

令和7年3月3日

西川町長 菅野 大志